坊っちゃん

1 作者简介

夏目漱石(なつめ そうせき,1867年2月9日~1916年12月9日),本名夏目金之助,笔名漱石,取自“漱石枕流”(《晋书》孙楚语),日本近代作家,生于江户的牛迂马场下横町(今东京都新宿区喜久井町)一个小吏家庭,是家中末子。

夏目漱石在日本近代文学史上享有很高的地位,被称为“国民大作家”。他对东西方的文化均有很高造诣,既是英文学者,又精擅俳句、汉诗和书法。写小说时他擅长运用对句、迭句、幽默的语言和新颖的形式。他对个人心理的描写精确细微,开启了后世私小说的风气之先。他的门下出了不少文人,芥川龙之介也曾受他提携。他一生坚持对明治社会的批判态度。1916年12月9日,夏目漱石因病去世。

本作发表于1906年。

2 語彙

  1. 親譲り おやゆずり 父母遗留下的东西,遗传,继承。 無鉄砲 むてっぽう 鲁莽,莽撞,冒失,不瞻前顾后,不考虑后果。 親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
  2. 腰を抜かす 直不起腰。 小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。
  3. 新築 しんちく 新建,新盖。翻盖,重盖。 威張る いる 自豪,说大话,吹牛,自以为了不起,自吹自擂,摆架子,逞威风,骄傲自满。 新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。
  4. 負ぶさる ぶさる 被人背,叫(人)背。 父の背に負ぶさる。
  5. かざす 举到头上,挥起,举过头,挥动。 親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃(は)を日に翳して、友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。
  6. 受け合う うけあう 承担,负责。保证,管保。  切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。
  7. 甲 こう 斜 はす 斜。歪。倾斜。(ななめ。) そんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込こんだ。
  8. 菜園 さいえん 
  9. 起き抜け おきぬけ 刚起来,刚起床。 熟する じゅくする (果实)成熟。(表现、时机等)成熟。 実の熟する時分は起き抜けに背戸(せど)を出て落ちた奴を拾ってきて、学校で食う。
  10. 質屋 しや 当铺。 この質屋に勘太郎という十三四の倅が居た。
  11. 鉢 はち 头盖骨。(頭蓋骨) 鉢合わせ。 头撞头,头碰头。
  12. 真っ逆さま まっさかさま 头朝下,倒栽葱。 領分 りょうぶん 领土,领地。范围,领域。  自分の領分へ真逆様に落ちて、ぐうと云った。
  13. 荒らす あらす 使荒芜;破坏,毁坏;损伤;糟蹋。骚扰,扰乱,伤害,损害。 ねずみが台所の食べ物を食い荒らす。  留守の家をねらって荒らす。
  14. 尻を持ち込む 找上门来,追究责任。 古川の持っている田圃(たんぼ)の井戸(いど)を埋めて尻を持ち込まれた事もある。
  15. 稲 ね 稻子。
  16. 贔屓 いき 关照,照顾,眷顾『書』,爱顾,赞助,捧场。偏袒,袒护,偏爱。 おやじはちっともおれを可愛がってくれなかった。母は兄ばかり贔屓にしていた。 
  17. 宙返り ちゅうがえり 翻筋斗。 宙返りがうまい。
  18. 横っ面 よこっつら 面颊。(「よこつら」の音変化。) 張る はる 徒手打。 くやしかったから、兄の横っ面を張って大変叱られた。
  19. 実業家 じつぎょうか 兄は実業家になるとか云ってしきりに英語を勉強していた。
  20. 瓦解 がかい 瓦解,崩溃。 奉公 ほうこう (为国家、社会)效劳,服务。 当伙计,佣工。 (在封建社会家臣为主公)效力。 零落 れいらく  この下女はもと由緒のあるものだったそうだが、瓦解のときに零落して、つい奉公までするようになったのだと聞いている。
  21. 珍重 ちんちょう 珍重,珍视,器重。 社長は彼女を珍重している。 このおれを無暗(むやみ)に珍重してくれた。
  22. やほや 溺爱,娇养。(甘やかす。) 捧,奉承。(おだてる。) おれは到底人に好かれる性でないとあきらめていたから、他人から木の端のように取り扱われるのは何とも思わない、かえってこの清のようにちやほやしてくれるのを不審に考えた。
  23. 帳面 ちょうめん 笔记本;练习本,本子;帐本。 
  24. 後架 こうか 禅寺で,僧堂の後ろに設けた手洗い場。また,そのかたわらに便所もあったところから,便所のこと。ごか。  その三円をがまぐちへ入れて、懐へ入れたなり便所へ行ったら、すぽりと後架の中へ落してしまった。
  25. 竹 たけ
  26. 依怙贔屓 えこひいき 偏袒,不公平。 女子学生を依怙贔屓する。 おやじは頑固だけれども、そんな依怙贔負はせぬ男だ。しかし清の眼から見るとそう見えるのだろう。
  27. 贔屓目 ひいきめ 偏袒的看法,偏心眼。 贔負目は恐ろしいものだ。
  28. 立身出世 っしんしゅっせ 出息;发迹;出人头地。  清はおれをもって将来立身出世して立派なものになると思い込んでいた。その癖勉強をする兄は色ばかり白くって、とても役には立たないと一人できめてしまった。
  29. 閉口 へいこう 〔こまる〕为难;[耐えられない]受不了,吃不消; [方法がない]没办法; ただ清が何かにつけて、あなたはお可哀想だ、不仕合せだと無暗に云うものだから、それじゃ可哀想で不仕合せなんだろうと思った。その外に苦になる事は少しもなかった。ただおやじが小遣いをくれないには閉口した。
  30. 任地 にんち 上任的地点,任地。 出立 しゅったつ 启程,动身。出门旅行。(旅立ち。) 兄は家を売って財産を片付けて任地へ出立すると云い出した。
  31. 厄介 っかい 麻烦;难为;难对付。 厄介な男。 厄介な問題。 照料,照应,照顾;帮助。 友人の厄介になる。 受朋友照应。 おれはどうでもするがよかろうと返事をした。どうせ兄の厄介になる気はない。
  32. ガラクタ 瓦落多 不值钱的东西,无用的零碎东西,破烂儿。 こんな物はがらくた同然だ。
  33. 斯様 かよう 这样,如此。(このよう。このとおり。) 兄とおれはかように分れたが、困ったのは清の行く先である。

  1. ざぶり 掉进水里扑通一声。 やがて湯に入れと云うから、ざぶりと飛び込んで、すぐ上がった。
  2. 帰りがけ 归途。(帰る途中。帰り道。) 帰りがけに覗いてみると涼しそうな部屋がたくさん空いている。
  3. とうと 迷迷糊糊,似睡非睡状。 うとうとしたら清の夢を見た。
  4. 呆れかえる あきれかえる 十分惊讶,惊讶到极点。 おれがあきれ返って大きな口を開いてハハハハと笑ったら眼が覚めた。
  5. 道中 どうちゅう 道中,道上。途中,旅途中。指旅行、亦指旅途期间。 道中をしたら茶代をやるものだと聞いていた。茶代をやらないと粗末に取り扱われると聞いていた。 
  6. 差し引く さしひく 雑費 ざっぴ 杂费,杂项费用。 汽車と汽船の切符代と雑費を差し引いて、まだ十四円ほどある。
  7. しみったれ 吝啬,吝啬鬼。 田舎者はしみったれだから五円もやれば驚ろいて眼を廻すに極っている。 目を回す。 大惊失色,非常吃惊。(気を失う。気絶する。)値段を聞いて目を回す。 
  8. 盆 ぼん 盆を持って給仕をしながら、やににやにや笑ってる。
  9. 飯 めし
  10. 四つ角 よつかど 十字路口。(よつつじ。) 四つ角を右へ曲がりなさい。
  11. 狸 ぬき 狸。 骗子;狡猾的人。 校長は薄髯(うすひげ)のある、色の黒い、目の大きな狸のような男である。
  12. 辞令 じれい 辞令,措辞。 任免证书,任免命令。 この辞令は東京へ帰るとき丸めて海の中へ抛り込んでしまった。
  13. 揃う そう (人)到齐,聚齐(集合する);(品物が)齐备,备全。皆そろったかね。 もう教員も控所へ揃いましたろうと云うから、校長に尾いて教員控所へはいった。
  14. ゆるり 舒畅地,慢慢地。(いそがず、ゆっくりしたさま。) ゆるりと話すつもりだが、まず大体の事を呑み込んでおいてもらおうと云って、それから教育の精神について長いお談義を聞かした。 談義 だんぎ 空洞训话,责备。(堅苦しい、つまらない話。)
  15. 法外 ほうがい 法外に高い。 法外な要求。
  16. 遥遥 はるばる 远道而来。 そんなえらい人が月給四十円で遥々こんな田舎へくるもんか。
  17. 喇叭 らっぱ 吹喇叭,小号。 说大话;吹牛。 彼はいつも喇叭を吹く。 
  18. し合わせる 商量;协商。 おれがはいったのを見て、みんな申し合せたようにおれの顔を見た。見世物じゃあるまいし。 見世物 みせもの 出洋相,当众出丑,耍活宝,被看笑话。被许多人当笑料看,亦指此样人或事物。
  19. 屈める かがめる 弯腰,屈身。 大概は椅子を離れて腰をかがめるばかりであった
  20. 教頭 きょうとう (中小学的)首席教师,教务主任。 挨拶をしたうちに教頭のなにがしと云うのが居た。
  21. いらざる 不必要な。余計な。いらぬ。 「 -心配をする」 要らざる 入らざる心配だ。
  22. 衛生 えいせい 公衆衛生。 公衆衛生 こうしゅうえいせい
  23. 誂える あつらえる 定,订做。 背広を誂える。 订做西服。当人の説明では赤は身体に薬になるから、衛生のためにわざわざ誂えるんだそうだが、入らざる心配だ。
  24. 色艶 いつや 光泽,色泽;气色,面色;肤色。 色艶がいい。 兴趣,趣味,风趣。 この浅井のおやじがやはり、こんな色つやだった。浅井は百姓だから、百姓になるとあんな顔になるかと清に聞いてみたら、そうじゃありません。 百姓 ひゃくしょう 农民,庄稼人。 
  25. 報い むくい 果报;报应。 それ以来蒼くふくれた人を見れば必ずうらなりの唐茄子(とうなす)を食った酬いだと思う。 不勉強の報いで試験に不合格だった。
  26. 坊主 ぼうず 僧(人),和尚。 秃头,光头。 男孩子;儿子,自己的男孩儿。 いたずら坊主。
  27. 漢学 かんがく 汉学;有关中国的学校。 漢学者(しゃ)。
  28. 芸人 げいにん 艺人。演员。以游艺、艺能为职业的人。 あの男はなかなかの芸人だ。 
  29. 主任 しゅにん 指導主任。 白墨 はくぼく 粉笔。 云い残して白墨を持って教場へ出て行った。
  30. 見識 けんしき 主任の癖に向うから来て相談するなんて不見識な男だ。
  31. 見尽くす 看完。 これで大抵は見尽くしたのだろう。
  32. 門口 かぐち 家门口,门前。 帰って飯でも食おうと門口をはいった。
  33. 宿屋 やどや 旅店,旅馆,客栈。 きのう着いた。つまらん所だ。十五畳の座敷に寝ている。宿屋へ茶代を五円やった。
  34. 受け持ち うけもち 主管,担任;主管〔担任〕的人;主管〔担任〕的事。 彼女は僕の一年生の時の受け持ちの先生だった。
  35. 年嵩 としかさ 年长,岁数大。 年老,上年纪。 女房は亭主よりも四つばかり年嵩の女だ。
  36. 人望 じんぼう 人望,声望,名望,爱戴。 あとで聞いたらこの男が一番生徒に人望があるのだそうだ。

  1. 引き上げる ひきあげる 吊起,曳起拉上来,提到高处。 返回,收回,取回,撤回。 囃す はす 齐声欢呼(喝彩),嘲笑。 仕方がないから何だか分らない、この次教えてやると急いで引き揚げたら、生徒がわあと囃した。
  2. 大同小異 だいどうしょうい 三時間目も、四時間目も昼過ぎの一時間も大同小異であった。
  3. ぽつねんと 独自,孤孤单单地。 授業はひと通り済んだが、まだ帰れない、三時までぽつ然として待ってなくてはならん。
  4. ダダをこねる (小孩儿)撒娇,缠磨人。 かしほかの連中はみんな大人しくご規則通りやってるから新参のおればかり、だだを捏ねるのもよろしくないと思って我慢していた。
  5. 履行 りこう この様子では留守中も勝手にお茶を入れましょうを一人で履行しているかも知れない。
  6. 車屋 くるまや 车夫。 修车匠。 親方 おやかた 师傅。 老板(マスター);头目,头子(ボス);工头,把头,领班。 鎌倉の大仏を見物した時は車屋から親方と云われた。
  7. くじる 失败,失策。没成功,没办好。搞砸。(失敗する。) (因过失等)被解雇,被解职。 教場で折々しくじるとその時だけはやな心持ちだが三十分ばかり立つと奇麗に消えてしまう。 教場のしくじりが生徒にどんな影響を与えて、その影響が校長や教頭にどんな反応を呈するかまるで無頓着であった。
  8. 据わる すわる 镇定,沉着。 おれは前に云う通りあまり度胸の据わった男ではないのだが、思い切りはすこぶるいい人間である。
  9. どうかこうか 将就,好歹,凑合,勉强。 学校の方はどうかこうか無事に勤まりそうだが、こう骨董責めに逢ってはとても長く続きそうにない。
  10. 暖簾 のれん 门帘,挂在铺子门上印有商号名的布帘。 铺子的字号,信誉,商誉。
  11. 滅法 めっぽう 特别,异常。 ((副詞として)むやみに。めちゃくちゃに。法外に。) 東京と断わる以上はもう少し奇麗にしそうなものだが、東京を知らないのか、金がないのか、滅法きたない。
  12. べからず 禁止,不可,不能。(文末に用いて、禁止する意を表す。…してはならない。) 水の流れが急なためここで泳ぐべからず。 ここに立ち入るべからず。 急ぐべからず。
  13. べからざる 禁止;不得;不能;不可。 文语助动词“べし”的未然形,“べからざる”在句中做定语。 动词原形(动词终止形)+べからざる+名词。 暴力は許すべからざる行為だ。 それは死ぬまで言うべからざることだ。
  14. 減らず口 へらずぐち 不住口,呶呶不休,强词夺理。 余計な減らず口を利かないで勉強しろと云って、授業を始めてしまった。 それから次の教場へ出たら天麩羅を食うと減らず口が利きたくなるものなりと書いてある。どうも始末に終えない。あんまり腹が立ったから、そんな生意気な奴は教えないと云ってすたすた帰って来てやった。
  15. 遊郭 ゆうかく 妓院区,花街柳巷。 公園もある上に遊廓がある。
  16. 団子 だんご 丸子。 二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてある。
  17. 旁 たがた 借……的机会……,……的同时。(…を兼ねて。がてら。) 買物旁散歩をする。 晩飯前に運動かたがた出掛ける。
  18. ぶら下げる ぶらさげる 佩带,悬挂。 提。 ところが行くときは必ず西洋手拭の大きな奴をぶら下げて行く。
  19. 新調 しんちょう 新制。(新しくこしらえること。) 湯の中で泳ぐものは、あまりあるまいから、この貼札(はりふだ)はおれのために特別に新調したのかも知れない。
  20. さくさ 不痛快,不舒畅,不爽快;郁闷,闷气,闷闷不乐『成』。 何だか生徒全体がおれ一人を探偵しているように思われた。くさくさした。
  21. 情けない なさけない 无情,没有仁慈心。 悲惨,可怜。 可耻,可鄙,令人遗憾。 何でこんな狭苦しい鼻の先がつかえるような所へ来たのかと思うと情なくなった。
  22. 骨董 こっとう 古董,古玩。 それでうちへ帰ると相変らず骨董責(こっとうぜめ)である。

  1. 代わる代わる かわるがわる 轮流,轮换,轮班。 学校には宿直があって、職員が代る代るこれをつとめる。
  2. 強者 きょうしゃ 强者。 聞き返してみたら強者の権利と云う意味だそうだ。
  3. 面目くさる 一本正经,装认真,装正经。 すると狸はあなたは今日は宿直ではなかったですかねえと真面目くさって聞いた。
  4. ずぼら 懒散,吊儿郎当,马马虎虎。 君のずぼらにも困るな、校長か教頭に出逢うと面倒だぜ。
  5. 仰向け あおむけ 仰起。 仰向けに置く。
  6. 総代 そうだい 总代表,全体的代表。 おれは早速寄宿生を三人ばかり総代に呼び出した。すると六人出て来た。六人だろうが十人だろうが構うものか。
  7. バッタ 飞蝗,蝗虫,蚱蜢。
  8. 曲がりくねる 弯弯曲曲。(くねくねと曲がる。) 校長なんかになるといやに曲りくねった言葉を使うもんだ。
  9. やり込める 驳倒,说败,问住。 あべこべ (顺序、位置、关系等)反,相反,颠倒。 あべこべにする。 事実はまさにあべこべだ。
  10. 御免こうむる ごめんこうむる 得到许可。 拒绝。(断る。) いたずらだけで罰はごめんこうむるなんて下劣(げれつ)な根性がどこの国に流行ると思ってるんだ。
  11. 唸る うる 呻吟,哼哼。 (兽类)吼,啸,嗥。 虎が唸る。 发呜呜声,轰鸣。 北風がうなり、雪がふきつのる。 赞叹,叫好。 
  12. 品切れ しなぎれ (货物)脱销,缺货,卖光,售罄。 よく先生が品切れにならない。 
  13. 持ち上がる もちあがる 隆起。升起。抬起。举起。 发生。出现。(突然予期していなかったことが起こる。) 意趣返し いしゅがえし 报仇,报复。おれは何事が持ち上がったのかと驚ろいて飛び起きた。飛び起きる途端に、ははあさっきの意趣返しに生徒があばれるのだなと気がついた。 
  14. 静粛 せいしゅく 肃静,静穆。 本来なら寝てから後悔してあしたの朝でもあやまりに来るのが本筋だ。たとい、あやまらないまでも恐れ入って、静粛に寝ているべきだ。
  15. 気違い染みる きちがいじみる 宛如发疯,如同疯子一般。 気狂いじみた真似も大抵にするがいい。 冗談も大抵にしろ。 开玩笑也要适可而止。 大抵にする。
  16. 判然 はんぜん 判然,明显,明确。(はっきりとわかること。) ランプはすでに消してあるから、暗くてどこに何が居るか判然と分らないが、人気のあるとないとは様子でも知れる。
  17. 一同 いちどう 全体,大家。 床板 ゆかいた 地板。 しかしたしかにあばれたに違いないがと、廊下の真中で考え込んでいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって響いたかと思う間もなく、前のように拍子を取って、一同が床板を踏み鳴らした。
  18. 急く く 着急。急。 気が急く。
  19. 錠 じょう 锁,锁头。 錠をかける。 上锁,锁上。 錠をかけてあるのか、机か何か積んで立て懸けてあるのか、押しても、押しても決して開かない。
  20. 申し合わせる もうしあわせる 商量;协商。 東西 とうざい この野郎やろう申し合せて、東西相応じておれを馬鹿にする気だな、とは思ったがさてどうしていいか分らない。
  21. 名折れ なおれ 丢脸,毁损名誉。 仕方がないから泣き寝入りにしたと思われちゃ一生の名折れだ。
  22. 旗本 はたもと 大本营。古代阵地中主将所在之处。 大将直属的,守卫大本营的士兵。 日本江户时代俸禄在1万石以下,500石以上的直属将军的武士。
  23. 詰問 きつもん 追问,诘问,质问,盘问。 おれが宿直部屋へ連れてきた奴を詰問し始めると、豚は、打(ぶ)っても擲いても豚だから、ただ知らんがなで、どこまでも通す了見と見えて、けっして白状しない。
  24. 意気地 いきじ 意气,自尊心;(由于自尊心等而)坚持己见。 これしきの事に、校長を呼ぶなんて意気地がなさ過ぎる。それだから中学校の小使なんぞをしてるんだ。
  25. 追って おって 随后,过一会儿,回头,以后。〔のちほど。〕 追って処分するまでは、今まで通り学校へ出ろ。
  26. 放免 ほうめん 解除,释放,解放。 早く顔を洗って、朝飯を食わないと時間に間に合わないから、早くしろと云って寄宿生をみんな放免した。
  27. 手緩い てぬるい 宽容的,不严格的。 手緩い処置。
  28. 割り戻す わりもどす (按比率)退还一部分,分期归还。 授業はやります、一晩ぐらい寝なくって、授業が出来ないくらいなら、頂戴(ちょうだい)した月給を学校の方へ割戻します

  1. 伝授 でんじゅ それじゃ、まだ釣りの味は分らんですな。お望みならちと伝授しましょう。 だれがご伝授をうけるものか。
  2. 猟 りょう 猎,狩猎。 活計 かっけい 生活を維持すること。また,そのための手段。生計。 一体釣や猟をする連中はみんな不人情な人間ばかりだ。不人情でなくって、殺生(せっしょう)をして喜ぶ訳がない。魚だって、鳥だって殺されるより生きてる方が楽に極まってる。釣や猟をしなくっちゃ活計がたたないなら格別だが、何不足なく暮している上に、生き物を殺さなくっちゃ寝られないなんて贅沢な話だ。
  3. 降参 こうさん 投降,降服,投诚。 折服;认输;觉得毫无办法。 すると先生このおれを降参させたと勘違いして、早速伝授しましょう。
  4. 主従 しゅじゅう この野だは、どういう了見だか、赤シャツのうちへ朝夕(さゆう)出入(でいり)して、どこへでも随行(ずいこう)して行く。まるで同輩じゃない。主従みたようだ。
  5. 見せびらかす みせびらかす 卖弄,夸示,显示,炫耀。 自分の釣るところをおれに見せびらかすつもりかなんかで誘ったに違いない。そんな事で見せびらかされるおれじゃない。
  6. びくともしない 一动也不动,安然如故『成』。 毫不恐惧,满不在乎『成』,处之坦然,毫不动摇。 びくともするもんか。
  7. 玄人 くろうと 内行,行家;里手,专家。 <ー> 素人 しろうと 玄人の目はごまかせない。 蒙混不了行家的眼睛。
  8. 熟練 じゅくれん 船頭はゆっくりゆっくり漕いでいるが熟練は恐しいもので、見返えると、浜が小さく見えるくらいもう出ている。
  9. 尖る とんがる 不愉快,不高兴,情绪不佳,怏怏不乐。 高柏寺(こうはくじ)の五重(ごじゅう)の塔が森の上へ抜け出して針のように尖がってる。 尖尖的。
  10. 絶景 ぜっけい 绝景,绝佳景色。(すぐれた景色。)
  11. 幹 き 树干。 あの松を見たまえ、幹が真直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね。
  12. 甚だ はなはだ 很,甚,非常,极其。(程度が著しいこと。たいそう。非常に。) 赤シャツのお陰ではなはだ愉快だ。
  13. たくさん 充分。 おれには青嶋でたくさんだ。
  14. 芸者 げいしゃ 艺伎。以歌曲,舞蹈,三味线等给酒宴助兴为职业的女性。 マドンナと云うのは何でも赤シャツの馴染の芸者の渾名(あだな)か何かに違いないと思った。
  15. 手際 てぎわ (处理事物的)手法,技巧。 手腕,本领。(うでまえ。) 野だは、なに教頭のお手際じゃかかりますよ。 
  16. 凪 ぎ 风平浪静『成』,无风无浪。 それになぎですからとお世辞を云いながら、これも糸を繰り出して投げ入れる。
  17. 寒暖計 かんだんけい 寒暑表,温度计,温度表。 熱度 つど 浮がなくって釣をするのは寒暖計なしで熱度をはかるようなものだ。
  18. 宛てがう あてがう 贴紧,紧靠,贴上。使东西紧密地接触。 おれは海の中で手をざぶざぶと洗って、鼻の先へあてがってみた。
  19. 手柄 てがら 功劳,功勋,功绩。 戦争で手柄をたてる。
  20. 唐人 とうじん 中国人。 外国人。
  21. 大当たり おおあたあり 中头彩,猜中。 今日は露西亜文学の大当りだと赤シャツが野だに話している。
  22. 手腕 しゅわん 手腕;才干,本事,才能,本领。(物事をうまくこなす腕前。能力。) 手腕を振う。 これは大いに手腕を要する仕事だ。
  23. 至り いたり 至,极,非常,甚。 気の毒の至りだ。 非常な歓迎ぶりで感激の至りです。
  24. 寄り付く よりつく 靠近,接近。(そばへ近づく。) 到底寄り付けたものじゃない。 人が寄り付かない。
  25. す 使暧昧,使模棱两可。 返事を暈す。
  26. 扇動 せんどう 煽动,鼓动,蛊惑。 大衆を扇動する。
  27. しゃぶる 放进嘴里舔,含,嗍。(口に入れて、すったりなめたりする。)
  28. 免職 めんしょく 実際おれは免職になるか、寄宿生をことごとくあやまらせるか、どっちか一つにする了見でいた。
  29. 尽力 じんりょく 尽力のかいあって大会は大成功に終わった。
  30. 込み入る こみいる 错综复杂,纠缠不清。 それが少し込み入ってるんだが、まあだんだん分りますよ。僕が話さないでも自然と分って来るです、ね吉川君。
  31. 率直 そっちょく 率直な人。 真率 しんそつ
  32. 奨励 しょうれい 考えてみると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しているように思う。
  33. 掛け声 かごえ 号子声;吆喝声。 喝采声;助威的喊声。 磯 いそ 海岸,湖滨。 おれは船端(ふなばた)から、やっと掛声をして磯へ飛び下りた。

なし

1.

3 文句

  1. 考えてみると世間の大部分の人はわるくなる事を奨励しているように思う。わるくならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊っちゃんだの小僧だのと難癖(なんくせ)をつけて軽蔑する。それじゃ小学校や中学校で嘘をつくな、正直にしろと倫理の先生が教えない方がいい。いっそ思い切って学校で嘘をつく法とか、人を信じない術とか、人を乗せる策を教授する方が、世のためにも当人のためにもなるだろう。