キチガイ地獄
キチガイ地獄
阅读时间:2024年9月24日
感想
全編が患者の妄想なのでしょうか?これが私が読んだ後の感想です。物語の前半部分は、論理的に非常に筋が通っており、一見するとすべてが合理的に見えます。しかし、最後に作者はまるで読者に一つの冗談を仕掛けたかのようです——前半の物語は、実はすべて語り手(精神病患者)の幻想に過ぎなかったのです。物語中のAさんは実は彼自身であり、彼こそが谷山家の若旦那。福岡県の昌夫や、久美子との世間から隔絶された山岳での生活といった様々な体験は、すべて自分自身の幻想に過ぎなかったのです。
語彙
- 人非人 にんぴにん 不是人, 人面兽心的人, 畜生。 愚劣 ぐれつ 婦女を誘拐した愚劣漢であると同時に、二重結婚までした破廉恥(はれんち)極まる人非人……。
- ルンペン Lumpen衣着褴褛的人,流浪者。 私は大正×年の夏の初めに、原因不明の仮死状態に陥ったまま、北海道は石狩川の上流から、大雨に流されて来た、一個のルンペン屍体に過ぎなかったのです……
- 絶勝 ぜっしょう 风景绝佳的名胜。 絶勝の地。
- 孤児 こじ 孤儿。 比喻意义,孤独的人。 人跡未踏 じんせきみとう 自分は九州佐賀の生れで、親も兄弟も無い孤児である。むろん学問という学問もしていないが、最近、東京で事業に失敗して、この世を悲観した結果、人跡未踏の北海道の山奥で自殺して、死骸を熊か鷲のえじきにするつもりで、山又山を無茶苦茶に分け登って行くうちに、あやまって石狩川に陥入ったもの……。
- 言語道断 ごんごどうだん 荒谬绝伦;岂有此理;可恶已极;无以名状。 生命の親様の名前を忘れるなんて、言語道断だとおっしゃるのですか……ト……飛んでもない。アンナ奴が生命の親様なら、猫イラズは長生の妙薬でしょう。
- 猟奇 りょうき 手玉に取る 捉弄人,玩弄人。 私が前に申しましたような、容易ならぬ大罪人の前科者という事実を、早くもその時に看破するや否や、一種の猟奇趣味の満足のためとしか思えない、極めて残忍な方法でもって、私の運命を手玉に取るべく、ソロソロと手を伸ばしかけていた悪魔というのは、誰でもない。
- 小樽 おたる 粗方 あらかた 大致,大体上。 しかも来て見るや否やタッタ一眼で、氏(うじ)も素性も知れない風来坊の私を捉まえて、死んでも離さない決心をしたというのですから、その我儘さ加減が如何に甚しいものがあったかが、アラカタお察し出来るでしょう。
- 仲介 ちゅうかい 居间调停。 ただ私がその龍代の超特級な我儘と、A記者の不思議なほど熱心な仲介に依りまして、谷山家の養子に納まる事になりますと、何よりも先に驚かされた事実が三つありました事を、念のため申上げておきましょう。
- 首尾よく しゅびよく 顺利地,成功地。都合よく。うまいぐあいに。副詞的に用いる。 放埒 ほうらつ 放纵。 しかもそれは私のような馬鹿を探し出すために、心にも無い放埒振りを見せていた龍代の大芝居に、マンマと首尾よく引掛けられた物……という事が結婚後、半年も経たないうちに判明して来たのです。
- 彌が上にも いやがうえにも なお,その上にますます。なお,いっそう。 見る見るうちに同家万代の基礎を築き初めましたので、谷山一家の私に対する信頼は弥が上にも高まるばかり。
- 繋ぎ止める つなぎとめる 系住,拴住。 维系,勉强维持。 ところがその危なっかしい血統が、龍太郎の誕生によってヤット繋ぎ止められたと思う間もなく、龍代自身の肉体に、早くもその忌まわしい遺伝病の前兆が、あらわれ初めたことがわかりましたので、まことに申訳無いが貴方に……つまり私にですね……情ない姿をお見せしないうちにお別れする決心をしました。
- 自給自足 じきゅうじそく 私が妻子と一所に、楽しい自給自足の生活を営んでいた、第二の故郷に相違ないのです。
- 栽培 さいばい 栽培,种植。 その地方ではたばこが盛んに栽培されている。
- 手筈 てはず 程序;步骤;事前的准备。 そのうちに、トウトウ彼女と連絡を取ることに成功しますと私は、迅速に手筈をきめまして、一気に彼女を引っぱり出してしまったのです。
- 酷似 こくじ 酷似,很相象。 ほかの新聞に出ていた囚人姿や、学生姿の写真が皆、私に似ても肖付(につ)かぬ朦朧写真であったのに、タッタ一つその紙面にだけ掲載されていた、私の少年時代の浴衣がけのソレが現在の私に酷似していたことは何という奇蹟でしたろう。
- 紫外線 しがいせん その男はヒドイ紫外線か、雪ヤケにかかったらしい、泥のような青黒い顔をしておりました。
- 千辛万苦 せんしんばんく Aは石狩川の上流を探検して、千辛万苦の末に、ようようの事で旭岳の麓の私の留守宅を探し当てたのです。
- エログロ 色情而丑怪的事物,淫猥而怪诞的事物。 或はそのエロ・グロのヒロインに対して、A一流の冷酷な野心を起したものかも知れませんが、とにかく吸い寄せられるようにフラフラとなったAは、吾れ知らず熊笹を押し分けながら、その方向に近付いて行ったものです。
- 肘鉄を喰らう 比喻被他人冷淡地拒绝。碰一鼻子灰。 俺あ龍代に復讐するつもりだったんだ……彼女は俺に肱鉄を喰わせやがったんだ……
- 一泡吹かせる ひとあわふかせる 使人大吃一惊。 前科者を亭主に持たして、一泡吹かしてくれようと思ったのが、間違ってコンナ事になってしまったんだ。あべこべに俺がキチガイ扱いされる事になったんだ。
文句
- その証拠に、私が谷山家に入込みました直前の状態を告白致しましたら、誰でも開いた口が塞がらないでしょう。
- 二人はそこで初めて、この上もなく自由な、原始生活の楽しさを悟ったのです。科学、法律、道徳といったようなやかましい条件に縛られながら生きている事を、文化人の自覚とか何とか錯覚している馬鹿どもの世界には、夢にも帰りたくなくなったのです。
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