黒猫

阅读时间:2025年4月1日

語彙

  1. 沙汰 さた 行动,行为。 正気の沙汰とは思えない。 不能想象那是精神正常情况下干的。 自分の感覚でさえが自分の経験したことを信じないような場合に、他人に信じてもらおうなどと期待するのは、ほんとに正気の沙汰とは言えないと思う。
  2. 簡潔 かんけつ 注釈 ちゅうしゃく 私の第一の目的は、一連の単なる家庭の出来事を、はっきりと、簡潔に、注釈ぬきで、世の人々に示すことである。
  3. 特質 とくしつ 特质,特征。 源泉 げんせん この特質は成長するとともにだんだん強くなり、大人になってからは自分の主な楽しみの源泉の一つとなったのであった。
  4. 鳥類 ちょうるい 私たちは鳥類や、金魚や、一匹の立派な犬や、兎や、一匹の小猿や、一匹の猫などを飼った。
  5. 言い伝え いいつたえ 传说。 この猫の知恵のあることを話すときには、心ではかなり迷信にかぶれていた妻は、黒猫というものがみんな魔女が姿を変えたものだという、あの昔からの世間の言いつたえを、よく口にしたものだった。
  6. 悪鬼 っき 恶鬼,鬼怪。 私と猫との親しみはこんなぐあいにして数年間つづいたが、そのあいだに私の気質や性格は一般に──酒癖という悪鬼のために──急激に悪いほうへ(白状するのも恥ずかしいが)変ってしまった。
  7. 悔恨 かいこん 朝になって理性が戻ってきたとき──一晩眠って前夜の乱行の毒気が消えてしまったとき──自分の犯した罪にたいしてなかば恐怖の、なかば悔恨の情を感じた。
  8. 不節制 ふっせい 私はふたたび無節制になって、間もなくその行為のすべての記憶を酒にまぎらしてしまった。
  9. 天邪鬼 あまのじゃく 出自日本传说中的恶神之名形容爱故意和别人唱反调,违逆他人言行想法,性格别扭的人又作“天の邪鬼”。 それから、まるで私を最後の取りかえしのつかない破滅に陥らせるためのように、天邪鬼の心持がやってきた。この心持を哲学は少しも認めてはいない。 
  10. 掟 おきて 成规;规章;法令;(宗教上的)戒律。 人は、掟を、単にそれが掟であると知っているだけのために、その最善の判断に逆らってまでも、その掟を破ろうとする永続的な性向を、持っていはしないだろうか?
  11. 絞首台 こうしゅだい 刑具 けいぐ  それはいまや、恐ろしい──もの凄い物の──絞首台の──形になったのだ! ──おお、恐怖と罪悪との──苦悶と死との痛ましい恐ろしい刑具の形になったのだ!
  12. 化身 けしん 神仏が教化のために人間その他の姿を取り、この世に現われたもの。また、その姿。 夜には、私は言いようもなく恐ろしい夢から毎時間ぎょっとして目覚めると、そいつの熱い息が自分の顔にかかり、そのどっしりした重さが──私には払い落す力のない悪魔の化身が──いつもいつも私の心臓の上に圧しかかっているのだった!
  13. 脳天 のうてん 头顶,脑瓜顶。 この邪魔立てに悪鬼以上の憤怒に駆られて、私は妻につかまれている腕をひき放し、斧を彼女の脳天に打ちこんだ。彼女は呻き声もたてずに、その場で倒れて死んでしまった。
  14. 井戸 ど 井;水井。 さらにまた、庭の井戸のなかへ投げこもうかとも──商品のように箱のなかへ入れて普通やるように荷造りして、運搬人に家から持ち出させようかとも、考えてみた。
  15. ぞんざい ぞんざい 粗糙,草率,马虎。 漆喰 しっくい 石灰。 そこの壁はぞんざいにできていたし、近ごろ粗い漆喰を一面に塗られたばかりで、空気が湿っているためにその漆喰が固まっていないのだった。
  16. 煉瓦 れんが 砖;土坯。 ここの煉瓦を取りのけて、死骸を押しこみ、誰の目にもなに一つ怪しいことの見つからないように、前のとおりにすっかり壁を塗り潰すことは、造作なくできるにちがいない、と私は思った。
  17. 穴蔵 あなぐら 地窖;地下室;储藏室。 とうとう、三度目か四度目に穴蔵へ降りて行った。
  18. 号泣 ごうきゅう 慟哭 どうこく ただ地獄からだけ聞えてくるものと思われるような、なかば恐怖の、なかば勝利の、号泣──慟哭するような悲鳴──となった。

文句

  1. 私がこれから書こうとしているきわめて奇怪な、またきわめて素朴な物語については、自分はそれを信じてもらえるとも思わないし、そう願いもしない。
  2. けれども、私は、自分の魂が生きているということと同じくらいに、天邪鬼が人間の心の原始的な衝動の一つ──人の性格に命令する、分つことのできない本源的な性能もしくは感情の一つ──であるということを確信している。
  3. ある朝、冷然と、私は猫の首に輪索(わなわ)をはめて、一本の木の枝につるした。──眼から涙を流しながら、心に痛切な悔恨を感じながら、つるした。──その猫が私を慕っていたということを知っていればこそ、猫が私を怒らせるようなことはなに一つしなかったということを感じていればこそ、つるしたのだ。
  4. その頭の上に、赤い口を大きくあけ、爛々たる片眼を光らせて、あのいまわしい獣が坐っていた。そいつの奸策(かんさく)が私をおびきこんで人殺しをさせ、そいつのたてた声が私を絞刑吏(こうけいり)に引渡(ひきわたし)したのだ。その怪物を私はその墓のなかへ塗りこめておいたのだった!