告白

阅读时间:2025年5月11日

キャラクター

  • 森口悠子 愛美 まなみ
  • 渡辺修哉 電気屋 A
  • 桜宮正義 さくらのみや まさよし
  • 戸倉せんせい とぐら
  • 長谷川さん ながやがわ
  • 下村直樹 B
  • 内藤さん 松川さん
  • 星野くん 野球部
  • 北原美月 みづほ
  • 曽根さん
  • ウェルテル 寺田良輝 てらだ よしき
  • 祐介くん
  • 健太くん
  • 亮治くん
  • 綾香
  • 由美ちゃん
  • 由香里さん 早紀ちゃん 美術部
  • 忠夫先生 理科

1 聖職者

  1. 第二次性徴 だいにじせいちょう みんなは今、第二次性徴期にさしかかったところです。丈夫な骨を作るため家で毎日牛乳を飲みましょう、と呼びかけたところでいったい何人が実行できるでしょうか?
  2. そっちのけ 丢开不管,置之不理。 何か一つ問題が発生すれば、授業もそっちのけで全員で解決に取り組もうとし、誰か一人教室を飛び出せば、たとえ授業中でも追いかけて行きました。
  3. 狂言 きょうげん 日本の伝統芸能の一。 诡计,骗局。 警察に訴えると大騒ぎです。しかし、私たち教員はすぐにこれが狂言だとわかりました。その先生は外見の性と内面の性が違っていたからです。
  4. ルバー (silver)银。 与其他词连用,表示高龄。 実家も遠いため、シルバー人材派遣センターにお願いすることにしました。
  5. シェット 小型挎包。 ファー素材でできたわたうさちゃんの顔を形どったポシェットに、わたうさちゃんの顔のホワイトチョコレートが一枚入っているというものでした。
  6. 逆手 ぎゃくて 出乎对方意料的办法;利用对方的论点反击对方,将计就计。 子供が純真だなんていつの時代の話でしょうか。少年法を逆手にとって、九〇年代、一四、五歳の子供による凶悪犯罪が頻発しました。
  7. 抜け作 ぬけさく 傻瓜,笨蛋,二百五。 野糞 のぐそ ブログでルナシーと名乗っていたとしても、実名を少年A、少女Aと表すのなら、その部分もモザイクをかけて、ヌケ作だのノグソだの、みっともない仮名をつけてやればいいのです。
  8. 誹謗 ひぼう T先生が奪われたのは仕事だけではありません。連日の誹謗、中傷に、T先生の奥様の精神はかなり追いつめられ、世間では事件がまったく風化してしまった現在も入院されたままです。
  9. 潜伏 せんぷく 通常、HIVの潜伏期間は約五年から十年といわれています。彼の場合は一四年、よくもったと言うべきでしょうか、それとも、よく耐えたと言うべきでしょうか。
  10. 一目置く いちもくおく (源自围棋用语)(自认)输一筹差一筹。 Aは入学当初、あまり目立つ生徒ではありませんでした。一部の男の子のあいだでは陰で一目置かれた存在だったようですが、そんなことはまだ知らず、私がAを気に掛けるようになったのは一学期の中間テスト以降でした。
  11. 乞うご期待 乞う こう すぐに職員室のパソコンからアクセスしたのですが、『天才博士研究所』という名のそのページには「現在、ニューマシーン開発中。乞うご期待!」と縁起の悪そうなフォントで書かれているだけでした。
  12. 変哲もない へんてつもない 平淡无奇,很普通。 百均 ひゃっきん 百元店。 ファスナーのついた合皮の黒い小銭入れで、見る限りなんの変哲もない、百均で売っているようなものでした。
  13. かりかり 心情变得郁闷,要生气。 Aは外国人があきれるようなポーズをとると「何かりかりしてんの? これのすごさをわからないなんてがっかりだな。もういいよ、別のところに出してみるから」と言い、私の手から財布を取り、出て行きました。
  14. 締め括る しめくくる 结束,总结。 「お年寄りでも安心して使えるように、もっともっとがんばるぞ!」と子供らしいコメントで締めくくってありました。
  15. 捺印 なついん 盖章。 レポートに一通り目を通した私にAは「先生に指導してもらって作ったわけじゃないけどさ、判子ないと応募できないし、担任だし、理科の先生なんだから頼むよ」と言いましたが、すぐに捺印することはできませんでした。
  16. 宣戦布告 せんせんふこく 挑战书。 勝敗 しょうはい 「僕は正義のためにこれを作った。でも、先生はこれは危険なものだと言う。どっちが正しいか専門家に判断してもらおうよ」宣戦布告のようにも受け取れました。結果、勝敗をつけるのなら私の負けでした。盗難防止びっくり財布は知事賞を受賞し、全国大会に出展され、そこでも中学生の部で三位に当たる特別賞を受賞し、高い評価を得たのですから。
  17. 顧問 もん 夏休みに入ると、顧問の戸倉先生はグループ別の練習メニューを発表しました。
  18. しどころ 该做的时候(地方)。 下降 かこう 実は、ここからが本当の勝負のしどころなのです。所詮自分はこの程度だ、とそのまま下降線をたどっていく人。あせらず、結果が出なくとも努力を続け、現状維持する人。ここが踏ん張りどころとさらに努力し、次の上昇線に乗る人。
  19. 横這い よこばい 横爬,横行。(物价、股市)平稳,停滞。 冬休みに入り、Bの成績は横這い、そして、下降状態を見せるようになったのです。
  20. 叱咤激励 しったげきれい 强烈鼓励。鞭策鼓励;激励鼓舞。 年が明け、三学期に入った早々、Bは塾の先生からクラス全員の前で、テレビのコマーシャルで見るような叱咤激励をされました。
  21. 書き殴る かきなぐる 胡乱写。 そんなとき、授業中、隣の席のBがノートの端に「死ね」と書き殴っているのが見えたのです。
  22. 懲らしめる こらしめる 惩戒,惩罚,教训。 これってさ、悪い奴を懲らしめるために作ったものだから、実験も悪い奴でやらなきゃ、と思ってさ。
  23. 無罪放免 むざいほうめん 突き出す つきだす 扭送。 警察につきだしたとしても、二人とも施設に入るどころか、保護観察処分、事実上の無罪放免になりかねません。
  24. 辛口 からくち 辣味儿,辣的东西很辣,辛辣,咸口烈酒、豆酱等口感辣、咸的东西。 爱吃辣的;爱吃咸的(人)。 本人は昔から素材の味を楽しむことができるデリケートな舌を持ち合わせていましたが、近頃は甘口のカレーを食べても辛口のカレーを食べても区別がつかない子供が増えているそうです。
  25. 除外 じょがい 除外;免除;不在此限。 そしてクラス替えはありませんので、みんなは決して二人を除外しようとせず温かい目で見守ってあげてください。

2 殉教者

  1. 殉教 じゅんきょう
  2. 裁く さく 裁判,审判。作出是非判断。 自らの手で裁くという選択をしたのなら、ちゃんと責任を持って、その後、少年二人がどうなったのかも、見届けるべきではなかったのでしょうか。
  3. 苦肉の策 くにくのさく いろいろと考え、苦肉の策だとは思いながらも、この手紙を、先生が休憩時間によく職員室で読んでいた、文芸誌の新人賞に応募することにしました。
  4. お下がり おがり 酒席的残余,残羹剩肴。 长辈给的旧衣物。 僕のお下がりで申し訳ないけど、みんな、本を読んで心豊かな生活を送ろう!
  5. とてもじゃないが 根本不行。不可能的事。「とても①」を強めた語。とてもじゃないけど。 話していれば、とてもじゃないけど、こんなに落ち着いた様子で、愚痴をこぼせるはずありません。
  6. 促進 そくしん 厚生労働省が実施した『全国中高生乳製品促進運動』、通称『ミルクタイム』の効果を受け、県内の全中学校で、毎日牛乳が支給されることになったのです。
  7. 制裁 せいさい 制裁对违反社会或团体的规则、习惯等的人所给予的惩罚和处罚。 それが、修哉くんに対する制裁の始まりでした。
  8. 補欠 ほけつ だから僕は、祐介と他の八人のメンバー、そして、レギュラーに選ばれなかった補欠部員、全員に賞賛を送りたいと思う。
  9. 色紙 いがみ 彩色纸彩纸,彩色折纸着上各种颜色的纸,尤指折纸手工用的方块纸。 週が明けた月曜日、ウェルテルは数学の時間に、色紙を一枚用意してきました。
  10. 遺族 ぞく 遗族,遇难者家属。 遺族の方が、二人が、どんなくだらない理由で、どんなひどい殺され方をしたか、また生前、自分たちはどんなに幸せな毎日を送っていたか、という話をしているのを、何度かテレビで見たことがあります。
  11. 集計 しゅうけい 合计,总计。 制裁ポイントというのは、修哉くんに対する嫌がらせのことで、自分が何をしたか、このアドレスに報告することにより、ポイントが与えられ、毎週土曜日に集計し、クラスで一番ポイント数の少ない人は、翌週から人殺しの味方とみなされ、同じように制裁を受けることになる、というのです。
  12. ジャンヌダルク Jeanne d’Arc (1412~1431) フランスの国民的英雄。東部の小村ドムレミーの農民の娘。百年戦争後期,フランスの解放を神に託されたと信じ,シャルル七世から授かった軍隊を率いてオルレアン城の包囲を解くなどフランスの危機を救った。のちイギリス軍の捕虜となり,宗教裁判で異端の宣告を受けてルーアンで火刑となったが,1920年聖女に加えられた。オルレアンの少女。 ジャンヌ・ダルクを気取るように、綾香は声を上げました。彼女自身は、そんな歴史上の人物の名前など知らないはずですが……。
  13. 包む くむ 包,裹,卷。 私は二人の牛乳パックを、掃除ロッカーに入っていたビニール袋にくるんで、家に持って帰りました。
  14. 自己顕示欲 じこけんじよく 自分の存在を目立たせ,他人の注意をひくこと。また,自分を実際以上に見せかけること。 直くんを追いつめたのは、良輝先生です。先生は、生徒のことなんて、何一つ見てくれていませんでした。先生は、生徒の表面に映る、自分の姿を見てうっとりしているだけでした。先生が愚かな自己顕示欲さえ示そうとしなければ、この悲劇は起こらなかったはずです。

3 慈愛者

  1. 腹部 ふぶ 打撲 だぼく 打,殴打;磕碰,碰撞;扑打。 母の遺体には、腹部に刺し傷が一つ、後頭部に打撲のあとが一ヶ所あった。
  2. 多感 たかん もともと私は森口が嫌いでした。多感な時期の息子の担任が、シングルマザーだなんてとんでもない、と校長宛に手紙を書いたこともあります。
  3. 誘導尋問 ゆうどうじんもん 诱导性的审讯,诱供,套供。 しかし、森口はいきなりやってきたかと思うと、私の前で、直樹に誘導尋問のようなことをし始めたのです。
  4. ちょごちょ つまらないことをあれこれと言うさま。 それを聞いた森口は、何やらもっともらしいことをごちょごちょと言っていましたが、最後にこのようなことを言ったのです。
  5. 恩着せがましい おんきせがましい 居高临下。 何を恩着せがましいことを言っているのでしょう。悪いのは全部、渡辺ではありませんか。
  6. 潔癖症 けっぺきしょう 直樹が妙に潔癖症になってしまったのは、春休みに入った直後からでした。
  7. 常軌を逸らす じょうきをそらす 越出常轨。 このような話はテレビで見たことがありましたので、思春期特有のものだと割り切り、直樹の言うとおりにしているのですが、その徹底振りは、少し常軌を逸しているのではないかと思います。
  8. 除菌 じょきん 漂白剤 ひょうはくざい 洗濯も、色柄もの関係なく、除菌効果のある漂白剤を必要以上に入れて、何度も繰り返し洗うのです。
  9. 軽減 けいげん 自分の罪悪感を軽減したいのなら、自分と同じ図太い神経の人間に責任嫁をすればよかったのです。
  10. 貞淑 ていしゅく 厳格な父、貞淑な母、そして、私と弟。
  11. 該当 がいとう 符合;适合;相当。 それらに該当する若者は年々増加し、社会的な問題になっているそうです。
  12. 診断書 しんだんしょ 直樹は心が疲れているのです。それならば、きちんとお医者様に診てもらって、診断書を書いてもらわなければなりません。
  13. 自律神経失調症 じりつしんけいしっちょうしょう 直樹は「自律神経失調症」と診断されました。無理をして学校へ行こうとしなくてよいので、まずはストレスをためず、リラックスした生活を心がけていきましょう、と言われました。
  14. 脂ぎる あぶらぎる 油光发亮,油脂、油腻。 髪の毛は脂ぎり、からだ全体からすえたような臭いがするようになりました。
  15. 不衛生 ふえいせい 突き飛ばす 撞出很远,撞到一旁,撞倒。 あまりにも不衛生なので、怒鳴られるのを覚悟で、無理矢理濡れたタオルで顔をふいてやろうとしたのですが、思い切りつきとばされ、階段のてすりに顔をぶつけてしまいました。
  16. 水の泡 みずのわ 白费,化为泡影。 よほど後をつけてみようかと思いましたが、途中で見つかってしまっては、昨夜の苦労は水の泡です。
  17. 奈落の底 ならくのそこ 深渊,困苦境地。 その後のやり取りで、私は奈落の底へと突き落とされてしまったのです。

4 求道者

  1. ガリ勉 がりべん 死读书的人;书呆子。 「僕なんか、みんなからガリ勉だって思われてるだろ。そういうのって、マックスでがんばってるって感じで、恥ずかしいんだよね」
  2. 収拾 しゅうしゅう ゾンビ退治はけっきょく収拾がつかないまま、パート2に続くらしい。
  3. 揉みくちゃ もみくちゃ 被揉得皱巴巴。 もみくちゃにされた髪を直しながら、僕は戦利品である、わたうさちゃん顔型ポシェットを渡辺くんに見せた。
  4. 後追い自殺 あとおいじさつ 崇拝する人、尊敬する人が亡くなった後に自ら命を絶つことウェルテル効果。 もしかすると、後追い自殺するかもしれない。なのに、担任ときたら、まったく普通すぎてかわいそうという気すらしない。むしろ、残念で仕方ない。
  5. 採取 さいしゅ 私は二人の牛乳に今朝採取したての血液を混入しました。私の血液ではありません。
  6. 排水溝 はいすいこう 生の証は、排水溝へと流れ込んでいく。

5 信奉者

  1. 遠隔操作 えんかくそうさ 遠隔操作式爆弾のスイッチは、ケータイの発信ボタンだ。
  2. 木っ端微塵 っぱみじん 粉碎,七零八落。  木っ端みじんに吹っ飛ぶのだ。無駄に存在している、多くの馬鹿どもを巻き添えにして。
  3. 断腸 だんちょう 万分悲恸。  断腸の思い、という言葉があるが、このときの母親は、まさにその思いで申し出を断ったのだと思う。
  4. 痣 あざ (被打出来的)青斑,红斑,紫斑。 もちろん、頬が腫れても、手足に痣ができても、母親を憎いとは思わなかった。
  5. 生い立ち おいたち (人的)成长(过程),长大,发育。 童年时代(的经历),成长史,出身。 自分の「生い立ち」と「内に秘めた狂気」、そして「動機」。正しくは、最初の犯罪の「動機」だ。
  6. ピンキリ 最好到最坏的范围。 「ピンからキリまで」の略。「最も良いものから、最も良くないものまで幅広い」などの意味の表現。 窃盗 せっとう 犯罪などピンキリだ。万引き、窃盗、傷害……。中途半端な犯罪をおこなっても、警察や教師から説教をされるだけだ。
  7. 手解き てどき 启蒙、入门。 そうなると、瀬口教授は、少年に技術の手ほどきをしたのは母親である、と言わないだろうか。
  8. 物議を醸す ぶつぎをかもす 引起争议;引发讨论。 この発言はかなりの物議を醸すのではないかと思った。母親は自分に、何と言ってくれるだろう。きっと、「修ちゃん、ごめんね」とまたあのときのように強く抱きしめてくれるに違いない。
  9. 窮鼠猫を噛む きゅうそねこをかむ 狗急跳墙,困兽犹斗。 何故、そんなことを? 簡単だ。去り際の捨て台詞、あれに対する仕返しだ。甘かった。窮鼠猫をかむ。
  10. 波瀾万丈 はらんばんじょう 警察には話さずに、馬鹿どもの前で告白する真意ははかりかねたが、つまらない話ではなかった。やや演出過剰な話しっぷりにうんざりするようなところもあったが、なかなかの波瀾万丈な人生だった。
  11. 待ち遠しい まちどおしい 急切等待,盼望。 もどかしくも、待ち遠しい。母親が去って以降、あんなに満たされていた時期があっただろうか。
  12. 口車 くちぐるま 花言巧语『成』,甜言蜜语『成』。 では、自分は担任の口車に乗せられ、夢を思い描いていたというのか。
  13. 苦渋 くじゅう ママは自分を愛していたけれど、夢を追いかけるために、苦渋の決断で出て行った。
  14. 足かせ あしかせ 脚镣;累赘。 まじめすぎる彼女には、それが大きな足かせになっているのだ。
  15. 抹消 まっしょう そして、修哉は去った日からすでに、過去の存在でしかありえないのだ。いや、すでにもう、記憶から抹消されているのかもしれない。
  16. 不発 ふはつ 不发火,打不出,打出不响的(子弹)。 ──何も、起こらない。どうしたというのだ。不発? いや、爆破装置に組み込んだケータイが、振動している気配すらない。まさか! 演台を覗き込む。
  17. 非通知 ひつうち 不显示号码的电话。 突然、握りしめたままのケータイから、着メロが流れだした。ヒツウチ。

6 伝道者

  1. 中座 ちゅうざ (会议、集会、交谈等时)中途退席。 私は、終業式を中座し、あなたと下村くんの出席番号が書かれた牛乳パックに、注射器で血液を混入しました。
  2. カー 巡逻车,巡视车,警车。 パトカーやサイレンの音があなたにも聞こえていると思います。
  3. ねえ、渡辺くん。これが本当の復讐であり、あなたの更生の第一歩だとは思いませんか?

2025年5月29日读毕