接吻

阅读时间:2023年7月24日

  1. 恋女房 こいにょうぼう 恋爱结婚的妻子。(相思相愛の男性から求婚されて、結婚することになった妻。) というのは、山名宗三、この一月ばかり前に新妻を迎えたので、しかも、それが彼の恋女房であったので。
  2. 抜き足差し足 ぬきあしさしあし 蹑手蹑脚,踮着脚轻轻走。 自宅の門前に近づくと、宗三はニヤニヤ独笑を浮べながら考えた。そこで、抜足差足、ソロリソロリと格子戸を開けて、玄関の障子を開けて、靴を脱ぐのも音のせぬ様に注意しながら、いきなり茶の間の前まで忍び込んだ。

  1. 寄寓 きぐう 寄居。(一時的によその家に身をよせて世話になること。また、仮の住まい。寓居。) 遠縁 とおえん 远房亲戚,远亲。(遠い血縁。また、その人。) 長らく ならく 久,长久,长时间。(長い間。久しく。公式の発言などに用いられる。) 新妻のお花は課長村山の遠縁の者で、長らく彼の家に寄寓していたのを、縁あって宗三が貰い受たのだ。

  1. ~に如(し)くはない “不如…”“最好…”“没有比…更好的了”。 じゃあ箪笥(たんす)へでもしまう積りかな、箪笥といっても、幾つもあるから後になっては分らない。兎も角、お花の跡をつけて見るに如しくはない。
  2. なかなか骨 非常麻烦、辛苦。 一体、どの箪笥の、どの抽出へしまうのかと、幸の障子の破れに目を当てて、そっと覗いて見ると、何しろ二間兼用の五燭(しょく)の電燈だから、それに障子の穴がやっと片目丈の大きさなので、見当をつけるのが、なかなか骨だったが、でも、兎も角、入口から云って正面の箪笥の上の、小抽斗(こひきだし)の左の端ということ丈は分った。
  3. 歯軋り はしり 咬牙。 咬牙切齿。うぬ、どうしてくれるか。くやしいのと、寒いので、宗三ガタガタと身を震わせて、はぎしりをかんだ。

  1. き下がる 退出,退下,离开。(ある場所から退く。) 辞职;撒手;脱身;作罢。(身を引く。) 見ると成程、こちらの手落ちだ。平生なら一言もなく引下る所だが、今日はそうは行かない。虫の居所が違う。 虫の居所(いどころ)がわるい。 心情不好,很不高兴。(機嫌が悪く、ちょっとしたことも気に障る状態にある。不機嫌である。)

  1. っつり ぷっつり 扑哧,线断了的声音。 突然中止。 いや、身体は別状ない。僕は今日から役所を止す。その積りでいてくれ。それから、役所を止した訳はあの村山と衝突したからだ。だから、今日以後、村山家へ出入りすることはふっつり止めて貰い度い。これは断じて守ってくれないと困る
  2. 矢庭に やにわに 突然,冷不防。(それまでの状況と変わって突然に。いきなり。) するとお花、いきなりワッと泣き伏しでもするかと思いきや、どうしてどうして、宗三があっけに取られた事には矢庭にクツクツと笑い出したのである。

  1. 早合点 はやがってん 没有仔细听而贸然断定,实际上没懂而以为已懂。(よく聞いたり確かめたりしないうちにわかったつもりになること。早のみこみ。はやがってん。) 他人の写真だと早合点したのは飛んだ間違いで、お花が宗三恋しさの余り、彼宗三の写真に接吻したり抱きしめたりしていたのだとすると、こんなひどい間違いはない。
  2. ねんね 睡觉。([幼児語]寝ること。ねね。)不懂事,带孩子气。 ねんねえ 「ねんね」の音変化。 陰険 いんけん 性根 しょうね 根性,本性。 だが、読者諸君。男というものは、少々陰険に見えても、性根はあくまでお人好し(ひとよし)に出来ているものだ。そして、女というものは、表面何も知らないねんねえの様であっても、心の底には生れつき陰険が巣喰っているものだ。 巣食う すくう (鸟类等)筑巢、搭窝;(恶人)盘踞。